この記事は、CAMPFIRE Advent Calendar 2022 最終日の記事です。執行役員CPO(Chief Product Officer)の momotarabitchがお送りします。
2022.12.31 追加 恩を売ると思ってRTしてください!
2022年は、多くのスタートアップやインターネットサービスにとって、大変な年だったと思います。世界的な景気変動による未公開市場への影響、長期化するコロナ禍/リオープニングによる事業への影響。世界と自分の繋がりをここまで直接的に感じたのは初めてでした。
しかし、マクロが変化しようと自分達が追求する世界は変わらず、外部環境に対応するために自分たちを変えようとしつづけた2022年でした。
2023年を “変えた年” にするべく、考えた事を記録します。
- 1. イントロ
- 外部環境と私たち
- 外部環境に起きた変化
- 私たちが起こす変化
- 2. セカイは変化に抵抗する
- 3. チームのレバレッジで成す
- 4. 北極星に向かうリーダーたち
- 4-1. フォーカスする
- 4-2. 共通認識
- 4-3. 役割
- 4-4. クリエイタードリブン
- 4-5. 追求水準
- 反省
- 5. 曖昧さと複雑さのその先へ
- We are hiring
- 他、考えたこと
- CAMPFIRE Advent Calendar 2022
1. イントロ
外部環境と私たち
僕たちは会社法人という枠組みのなかで、組織をつくり、サービスを構築/提供しています。
僕たちの(とりわけサービスの)右側には、ユーザーさんたちがいます(ユーザーマーケット)
CAMPFIREにおいては、
- 活動の立ち上げや拡大, 持続に挑戦する個人やスモールチームの方々
- クラウドファンディングで資金提供する支援者の方々
- 共にクラウドファンディングを拡めるパートナーの方々
などがいらっしゃいます。
反対に、左側には金融のマーケットがあり、会社運営に必要なリソースを供給してくれます。
外部環境に起きた変化
- ユーザーマーケットに起きた変化
- 金融マーケットに起きた変化
クラウドファンディングはコロナ禍で認知を急激に拡げたものの代表的な一つです。
beforeコロナでは、元より活用ニーズが強い方々にご利用いただく事が多かったのですが、コロナの影響で資金需要/マーケティング需要が強まったことで、クラウドファンディングを多くの方にご利用いただく事となりました。
その結果、具体性の高いクラウドファンディングの認知が急拡大することになります。(それらに合わせた認知拡大施策の実施なども)
認知が拡大するという事は、クラファン市場の拡大に必要な、クラウドファンディングを活用するニーズが比較的軽い(つまり、活用イメージや需要もその時点では軽い)方々にも興味をもっていただけるという事です。
しかし、サービス活用のイメージやモチベーションをユーザーサイドに依存したbeforeコロナのままのサービス設計では、価値を提供しきれない事が浮き彫りになりました。
世界的なダウントレンドで国内外の公開市場、とりわけテック株は大きく混乱し、その影響は未公開市場にも強く現れました。
スタートアップ企業は、これまでの拡大最優先の姿勢から、当然拡大を志しつつも、事業の収益性を高め、コントローラブルな持続性をもつことが重視されはじめました。
私たちが起こす変化
こうした外部環境の変化を受け、beforeコロナやコロナ禍ど真ん中の時期に比べて、より広いユーザーさんに価値を提供することができる、かつ、持続と拡大を見込める事業/サービスの構築を目指すことになりました。
2. セカイは変化に抵抗する
既にあるものを動かそうとするとき、その程度に応じて、動かさんとする自分, 自分達に対して外部は抵抗し、動かすことに多くのコストを要しますが、これを僕は “セカイは変化に抵抗する” という言葉で認識しています。
私たちが起こそうとする変化が果たされた姿を理想系としたときにも、現状との間には、いくつかの大きなギャップがありました。
一つ一つ課題を紐解いていくと、多くの要素が複雑に絡まり合っていて、これらを全て変えることは、今からもう一つCAMPFIREを作るようなもので、とても大きな変化であり、複雑さと曖昧さのなかで、緻密なコントロール/強靭な実行力が要求されるものでした。
3. チームのレバレッジで成す
変化を起こすのにかかるコスト(エネルギー)が大きくなるほど、個の力ではその実現が困難になります。ましてやそれが、10年積み重ねてきた事業/サービスの再解釈とリビルド, アップデートとなれば、なおさら顕著です。
大きな変化は、個ではなく、個よりも大きな集団, チームの力によって成されます。
ここで重要なのは、”チーム” とは、「多少パワーのある個と、それに付き従う各個人の集まり」ではなく、「同じ方向に向かって自律的に進む各個人の集まり」を指していることです。
前者は、1のインプット(コスト)で1のアウトプットを出すようなレバレッジのきいてない状態です。これでは、単純な問題を解決することはできても、同時多発的で複雑に入り組んだ問題を解決するのに求められる短期~中期的な突破力をもつことはできません。
後者のような、多くの個がリーダーシップ/オーナーシップを有するチームとなり、1のインプットで10のアウトプットを出せるレバレッジのきく組織の状態にする必要があります。
4. 北極星に向かうリーダーたち
- フォーカス
- 共通認識
- 役割
- クリエイタードリブン
- 追求水準
4-1. フォーカスする
「同じ方向に向かって自律的に進むチーム」になるために、まず必要なのは方向を定めることです。事業/サービス価値の原理原則的に伸ばすべき指標や、特徴的な指標から、コントローラブルな因子を抽出し、フォーカス
4-2. 共通認識
定まった方向を、「みんなにとって同じ方向」にしなければ、「自律的に進むチーム」にはなりません。そのためには、共通認識をもつことが必要です。
共通認識をもつには、どこまでもシンプルにすることが重要でした。様々な要因から現時点での理解度/理解力が異なる人に、100ある情報を100のまま伝えても、自ら実践したり人に伝えたり意思決定できるレベルで理解することはできません。
100ある情報は、圧縮処理して5まで落とす(もし圧縮できないのであれば、それは解像度が悪いか思考停止)。5だけではさすがに足りないので、5のなかの1つ1つについて、また5くらいで伝える。
こうすれば、10のインプットで、全体と自分が担当する部分について解像度が高い状態を作ることができます。
- 向かう方向についての共通認識、高い解像度がないとき
- 個人
- 組織
アイデアを出すことは困難だし、考えたアイデアが筋違いになってしまうことも。その結果、自分で考えることを避け、仕事は受け身になり、自律性や主体性を失ってしまい、やがて面白味を感じられなくなってしまいます。これらの元凶は、共通認識を作れていないことに起因します。誰かが、やる気がないわけでも考えてないわけでもない。
優先順位づけが困難になり、リソースの投下先がばらつき、実行力が下がる
4-3. 役割
「自律的に進む」ためには、役割の明確化が必要になります。どの指標をどうするために、どんな動きが期待されるのかの共通認識と合意形成があり、状況に応じてチューニングをすべきです。
4-4. クリエイタードリブン
変化には速さが必要です。遅い、ただそれだけで、大きな変化は実現できなくなります。
同時多発的で複雑に入り組んだ問題では、一つの要因だけを解決しても全体が解決しないため、ゆっくりと時間をかけて一つ一つ解決するアプローチを選択する意味がありません。
また、速さは組織のモメンタム(勢い)を生み出し、さらなる速さを生み出し、より多くの変化に繋がります。
速さを出すには、実際に変化を起こすケイパビリティのある人(ここではクリエイターと定義します)がリードすることです。プロダクトであれば、エンジニアさんやデザイナーさんがこれに該当します。
最も早く具体に触れられる人がリードして進めることで、アイデアや課題のブラッシュアップ、施策の実行速度が早くなり、より多くの変化を作れるようになります。
クリエイターがリードできる状況にするために、フォーカス / 共通認識形成 / 役割をする必要があります。
4-5. 追求水準
「同じ(正しい)方向に向かって自律的に進むチーム」が「やり抜く」ことができれば、変化は実現できるでしょう。取り組む課題はそう単純ではないので、正しいコンセプトの弱いパンチではどうにもならず、やり抜く必要があります。
やり抜くためには、クオリティや執拗さの追求が必要です。しかし、この水準もまた現時点でのプロフェッショビリティによって幅があり、これはよりシニアなロールが積極的に追求を促すことで、組織としての高い水準を担保しなければなりません。
反省
振り返ると、この5つのアジェンダに対して理解するのに半年強の時間を要してしまいました。表層的には理解しつつも、自分で抱え、100を100のまま伝え、クリエイターさんの爆発的な推進力を実現しきれず、レベルを追求しきれない。レバレッジを効かせたくないのかと、自分に問いたくなるほどです。
自分には必要なつまづきでしたが、ここからCPOとしてレバレッジづくりにコミットしなければならないと強く感じています。
5. 曖昧さと複雑さのその先へ
2023年は、CAMPFIREを次のフェーズにあげるため、実行力の高い組織と現状の打破、そして自分がすべき未来の構想と実装にコミットします。曖昧で複雑な問題を、みんながクリエイティビティを発揮して倒せるようなスライムにまで落とすのがCPOとしての自分の仕事です。
僕たちの前にある課題の多くが曖昧で、複雑で、30分くらい途方に暮れることもあるけど、そういうの潰すのが好きで得意な僕たちと、どう考えても社会に浸透するべきこのサービスのビジョンがあれば、想像した世界を実現できるでしょう。
現状に対して変化を提案する僕たち、大きな抵抗を超えていく責任を果たそう。
We are hiring
「一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる。」をミッションに、クラウドファンディングサービスを展開しています。フェーズ2にはいるところです。以下の職種を募集中です。お気軽にぜひ、僕たちで作りませんか。
僕たちは、クラウドファンディング市場というか、個人やスモールチームが活動の立ち上げや拡大、維持に挑戦する市場にいます。そこで、他の何よりも簡単で機会を拡大できるサービスと、挑戦を応援することで生まれる自己充足的な消費体験の実装と提供を目指しています。
- シニアプロダクトマネージャー
- リードエンジニア(Rails)
- Railsエンジニア
- Flutterエンジニア
- SRE
- データアナリスト
- データエンジニア
- マーケティング責任者
- セールス(エンタメ領域)
- セールス(ガジェット領域)
- 事業推進責任者
- 詳細
他、考えたこと
構造化しないけどつらつら
- 意思決定とは、不確実でオプショナルな状況において、自らの意思で選択をすること。意思決定の結果に対して責任を取らねばならず、責任とは、発生した状況において、最善手を打つこと。
- ベンチャー企業における、「得られる経験」とは、いつか自分が解決したいと感じた課題を解決する力 ≒ 実装力
- 子育て大変、子ども一番かわいい
- UXデザインというより、UXビジョンデザイン
- 厄介な問題の解決には、曖昧さと向き合える力、ネガティヴケイパビリティが必要
- 東京⇄福岡は、新幹線の方がいいかもしれない
- 行動変容を起こすには、情報を伝えるのではなく、動くように設計する
- UXを指標に落とし込めないのは解像度が荒いだけ
- リソースが十分なら遅すぎる
- 仮説検証力ないとやりたいことやれない
- みんなが「いいね!」と反応するアイデアは、一人一人違う人なのに誰も「ダメだね」と感じてないので、それくらい浅くて鈍いアイデア
- イニシャルコストが不足していると、重要なタイミングでダウンサイドが顕在化する
- スタートアップでコミュニケーションコストをケチるのは闇金
- ToBeをいかに描ききるか、AsIsの悪魔は強い
CAMPFIRE Advent Calendar 2022
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