この記事は CAMPFIRE Advent Calendar 2023 の25日目の記事です。 執行役員CPO プロダクトデザイン部 部長のmomotarabitchが担当します。
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2023年のCAMPFIREは、厳しい市況のなか、事業の収益化 / 資金調達 / 組織再編をほぼ完了し、再び事業成長への投資readyな状態になりました。
プロダクトとしては、収益化の基盤づくり / ネクストグロースへ向けた重要施策の推進にコミットし、部分的に成果の顕在化や重要指標の解像度を高め、グロース設計や次フェーズのCAMPFIREのコンセプト策定を完了することができました。
2023年をもってスタートラインに立ったにすぎませんが、CAMPFIREの歴史のなかで最もユーザー / 事業に対して、組織で向き合った時間であったといえます。
この一年のもがきを振り返り、2024年以降のエグゼキューションを考えると、自分たちが「高い生産性で創造的なアウトプットを行い、成功させるチーム」である事がKSFとなります。
その状態を、「動物的な組織 = プロダクトアニマルズ」だと直感的にイメージしていて、アドベントカレンダーを機に、概念を整理していきたいと思います。
INDEX : プロダクトアニマル(ズ)
- 不確実性に立ち向かうアニマル
- 動物的なシステムでプロダクトをつくる
- プロダクトアニマル
- 習性1. プロダクトアニマルは、群れる
- 習性2. プロダクトアニマルは、共に向かう。
- 習慣3. プロダクトアニマルは、やってから考える
- 習慣4. プロダクトアニマルは、ゴールからつくる
- CAMPFIREアニマル(ズ)の向かう先
※本記事におけるプロダクトとは、不確実性の高い環境で企画開発が進められるソフトウェアのことを指しています。量産を前提とした製品(プロダクト)についてはスコープ外となります
※語りやすくするために「スタートアップでは」と表現していますが、志もって難しいチャレンジに臨む組織では大抵同じことが言えるかと思います
※ アドベントカレンダーなので ”プロダクト” アニマル と表現していますが、 目指すべきは ”事業” アニマルであるべきで。所謂プロダクト関連職種のみでアニマルズになればいいという話ではありません。All for Product, All for Service, All for Business、だろ
不確実性に立ち向かうアニマル
私たちは、抽象的には何に向き合っているのかでしょうか。
スタートアップ企業は、そのフロンティア性や短期的な急成長デザインから、高いリスク(不確実性)に晒されています。リスクはレイヤー別に様々ありますが、以下に主なリスク(相互関係あり)を並べました。
- ビルドリスク
- キャピタルリスク
- マーケットリスク
- エグゼキューションリスク
事業を立ち上げる確度のリスク。一般的なWebサービスは相対的に立ち上げリスクが低く、許認可や規制産業、研究開発領域(ディープテック)とリスクが高まっていきます。
事業立ち上げや推進、競争環境の勝ち抜きに必要な先行投資資金の獲得リスク。取り組みテーマ、チーム、市況、業績、競争環境、トレンドなど、様々な因子によって構成されます。
顧客(ユーザー)市場における提供サービス/プロダクトの受容リスク。需要の変動や競争環境、テクノロジー、規制、UXクオリティなど様々な因子によって構成されます。
ビジョンや状況に対する課題の解決リスク。戦略にはじまり、採用や配置といった組織づくり、GRIT、PDCAケイパビリティ、意思決定など様々な因子によって構成されます。
スタートアップ(とそのメンバー)の役割とは、アウトプット→アウトカムによってこれらのリスクを(最小化し)乗り越え、事業の目的に近づくことです。
見通しが悪い、道なき道をゆく状況下で、正しい方向の範囲内で素早くPDCAを行い、ビルドとアジャストを不断に積み重ねなければなりません。
そのキーとなるのが、「短期と長期で、速く(Speed)進むこと(Quority)」になります。
※ 開発アイテムの進みではなく、プロダクトとしての進みが重要であるため、 “進むこと” を “質(Quority)” としています
SpeedとQualityによって、学習を重ね、リスクを乗り越えるのです。
では、どうやってSpeedとQualityをもてばいいのでしょうか
動物的なシステムでプロダクトをつくる
その答えが、動物的なプロダクトづくりではないかと考えています。が、まず動物的ではないプロダクトづくり = 機械的なプロダクトづくりとはなんでしょうか。
「機械的なプロダクトづくり」からは、工場で部品ごとに生産が進んでいく、工程ベースのものづくりの様子をイメージできます。各工程では、需要に応えた安定したアウトプットが期待され、それぞれの工程は責任範囲が明確で、何か問題が起きた際には、その工程を修正することで全体の生産が最大化されます。
しかし、実際にプロダクトづくりを行うのは(エンジニアやデザイナーに限定せず、広義に)機械ではなく人です。そしてその人々は、前述の期待に応えられるような、安定したアウトプットをすることはできません。 これは、そもそも需要の不確実性が高く、予めの答えがない仕事であることが大きく起因しています。
ある工程で不安定な質のアウトプットを生産し、次の工程へ渡し、それが加工され、それを次の工程へ..と繰り返すほど、結果として需要に応える答えからは、どんどんと外れていくことでしょう。 各工程から(タスクとしては)送り出すことができたとしても、それが最終的な成果につながるとは限らないのが、私たちのプロダクトづくりです。
つまり私たちは、機械的なシステムではなく、 動物的なシステムでプロダクトづくりに取り組む必要があります。
それは、不確実性と向き合い、都度最大限の見通しと覚悟をもって、知能をあつめ創造を繰り返すプロセスです。最後には、答えの一つにたどり着くことを目的としています。
答えがわからない中で創造するには、複数の思考をぶつけ、その衝突による反応から新たな思考へ辿り着き、初めには無かった思考をもつことが重要です。これを工夫と呼びます。
工程をわけず、複数の専門性や経験、視点をもって創造に臨む、動物的なシステムを構築しましょう。
プロダクトアニマル
では、23年を通じて見えたプロダクトアニマルの習性を紹介します。
- プロダクトアニマルは、群れる
- プロダクトアニマルは、共に向かう
- プロダクトアニマルは、やってから考える
- プロダクトアニマルは、ゴールからつくる
習性1. プロダクトアニマルは、群れる
まず、プロダクトアニマルは群れで行動します。この群れは、”XXer” など職種の記号に捉われず、同じ志をもつ個人が集合して形成されています。そしてこの群れには、明確な長がいます。
群れにおける関係性はフラットで、自律性に基づいてアジリティ高く行動が起きることが望ましい一方で、不確実性の高い状況下での群れにおいては、意思決定の遅れが命取りになりかねません。
合議で意思決定を下すシステムは、常に、より安易な方法や、意思決定しにくいものを遠ざけるリスクを抱えています。
この問題に対処するため、群れには長が就き、意思決定の役を担います。
もちろん、長が離れた場所でなにかを決定し、それを群れで遂行することが基本のシステムは、前述の機械的なシステムであり、創造性の観点からも推奨されません。
しかし、何かを捨て、何回絞り込む意思決定とは、常に孤独なものであるのもまた事実です。
そのため、群れで熟慮し、長が意思決定を担うのです。個人は、決定内容に賛成でなくとも、過程の議論と長を信頼/リスペクトし、システムの担い手として決定内容にコミットします。コトに向き合い、ヒトに乗るのです。
習性2. プロダクトアニマルは、共に向かう。
前述の通り、工程分けをせず群れで動くプロダクトアニマルは、自分だけ、XXerだけ、”Xだけの問題” を作りません。
“Xだけの問題” は、Xではない誰かの時間を奪わない一方で、Xのリソース状況や記憶に依存し、問題を解決推進するためにリソースが割かれない危険性を孕んでいます。
問題が解決しない背景には、その問題にリソースが割かれていない、つまり、やっていないから解決していないことが多くあります。
であるからして、問題解決を好むプロダクトアニマルは、 ”Xだけの問題” をつくりません。
個人の感じた問題は、「群れのアジェンダ」としてラインナップされ、取り扱う優先順位が定めらます。
群れのアジェンダとすることで、群れとしての時間で必ず論じる時間がとられ、仕組的にリソースが充てられ、放置されない状況をつくることができます。
また、群れでアジェンダに取り組むことで、アジェンダを共有することができます。
群れで思考するには、解像度を揃えて考えることが望ましいですが、それには情報を共有している必要があります。
「共有」とは、「共に有する」と書きます。誰かが一方的に何かを伝えても、共に有せていなければ、それは「共有」ではありません。
群れは、問題を抱えている個人の集合体ではなく、群れとして群れ全体の問題を抱えているのです。
群れの問題とすることで、群れに属する個人は、自分発でなくとも問題意識を持つようになります。すると、個人の視野や視座が拡がり、ネクストリーダーが育つ仕組みにもなっていくのです。
これは、個人⇄法人の概念のように、個人の集合を群格(チーム格)として捉えているとも言えます。
「エンジニア/デザイナーにビジネスを理解してほしい企画」 「受託っぽさから抜け出したいエンジニア」 「開発都合を理解してほしいエンジニア」 など、よく聞く話ですが、その話が出る場ではせいぜいがXXer視点/都合のロジックを一方的に伝えるのみで、そもそも一緒に考え上げようとしたことがほとんどないのです。
共に取り組む場すらなく、互いの立場からの主張で異なるベクトル/次元の話をしてすれ違い続けるHELLは辞めましょう。
「向き合う」ではなく「共に向かう」。 ”XXer” である前に、”プロダクト(事業)作り屋さん”
そのためにも、彼らは真っ直ぐなコミュニケーションを心がけています。自分とは別人である他者と、迂回したコミュニケーションでまともな改善を図れるはずがありません。逆に、真っ直ぐなコミュニケーションをとるだけで、好転することは多々あることでしょう。
習慣3. プロダクトアニマルは、やってから考える
三つ目の習性は、「やってから考える」です。
事業やプロダクト、開発、組織の課題や機会について、日々新しいアジェンダがどんどん生まれます。
が、アジェンダを見つけた本人をはじめ、周りにも暇な人はいないため、「忙しいからあとで考えましょう(永遠に忙しい)」「優先順位をつけて考えましょう(永遠に順番がこない、なんなら順位をつけない)」「継続して考えましょう(永遠に言ってる)」と後回しにして、結局進捗しないパターンが多々あります。
「考えよう」と誰もが納得の選択をした結果、なにも状況が変わらない。
プロダクトアニマルは順序が逆です。考える前に、やってしまいます。静かな水面に、石を投げ入れて、その波紋から、次のアクションを考えます。決して、水面を少し眺めてご帰宅したりしません。
もちろん、準備をせずにやって完全に片付くことはそう多くはありません。しかし、すぐに議論し、論点を整理さえすれば、自分を含めた組織内の誰かが、忙しい今でも着手できるサイズまで落とすことができます。
そうして、部分的にでも好転 / 進捗すれば、幾分かマシになります。多少でも勢いがつけば、あとは周りの協力も得ながら進めることができます。
忙しいからやらないのではなく、やらないから忙しい。はやくアニマルになって、引き続き癖を捨て、DONEさせよう。
習慣4. プロダクトアニマルは、ゴールからつくる
プロダクトアニマルは、スピードを大事にしています。ですが、スピードを出すだけだと、クオリティが低かったり、色々な場所に衝突してしまって、結局どこにも行けない事態に陥りかねません。
そこで、彼らは「引力」を頼りにします。まず、ゴールをデザインするのです。
どんな体験を作りたいのか、どんな自分たちでいたいのか、ゴールをデザインし、決定します。
そのゴールはワクワクするもので、そこに僕たちと結果を収束させる引力を持っています。ゴールをもてば、そこに至る高速道路がひかれ、一方通行トップスピードで進むことができます。
デザインアウトプットは引力であり、この引力は、推進力よりも強い。
ゴールが見えたら、実現に向けた議論が前もって活性化され、ロードマップ上でそのオブジェクトに差し掛かる頃には、ほぼ全ての論点がクリアになっていることでしょう。
注意点として、ゴール設計は「ああかも、こうかも」と、かもかも仮説を並べて満足することではありません。見通しの悪い不確実性が高い環境でも、これだと信じられるゴールを設計できるよう、本質を捉えて考え抜くことが重要です。
群れに属するデザイナーは、このゴールデザインを牽引することが得意なプロダクトアニマルで、彼らの意識は、常に3Q以上先の未来に生きています。どのレイヤーでも、誰よりも先回りして、「このゴールどう?」と可能性を可視化し、議論を巻き起こすことに夢中です。
一方で、学習を不断に重ねる動物のプロダクトアニマルは、ゴールをアップデートする意識も併せ持っています。動的なゴールをデザインしつづけ、そこへ向けて楽しく走り続けましょう。
プロダクトづくりの現場でも、まずゴールを目の前にもってくることを重視します。
「いま考えているものはどんな体験なのか?」体験のセンターピンを捉えたプロトタイプをすごい速さでつくり、体験が良いのか / 悪いのかを判断します。
機能を作り終えてから、体験が良いことを祈ってデプロイすることはしません。先に、良い(と思う)のか悪い(と思う)のか結論づけてしまい、答えをもって動き出します。
CAMPFIREアニマル(ズ)の向かう先
CAMPFIREは、「クラウドファンディングサービス」から「チャレンジャーと支援者のコミュニティづくりのサービス」に変わっていくでしょう。
その結果「既にできる人が使うツールのクラウドファンディング」から「CAMPFIREにいけばできる」状態を実現させようとしています。 これは、クラウドファンディングを、資金獲得ソリューションから、より広範囲な事業アセット獲得ソリューションへと昇華させるアプローチです。
困難なチャレンジに取り組むなかで、日本全国にクラウドファンディングネットワークを形成するべく、戦略的にリモートワークに取り組んでいますが、リモートワークならではの課題があることも重く受け止めなければいけません。
であるからこそ、動物的なシステムで、CAMPFIREを勢いもって作っていきたいと思います。
よく考えるのですが、CAMPFIREがあることで、環境問題の解決や、食糧難も、戦争根絶も、地球や人類レベルの進歩を直接的につくることは出来ないでしょう。
しかし、CAMPFIREがあることで、間違いなく誰かの人生を直接的に好転させることができ、その対象とする数では世界で一番になる可能性をもった事業であると思っています。
本当に人生を使う価値のある事業だと思います。
CAMPFIREアニマル(ズ)に加わる仲間を、積極的に探しています!
感想はぜひ元ツイの引用かシェアで教えてください!